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2025-05-09

銘木探しの旅~Deep Reserch~

47都道府県の代表的な銘木一覧

日本は森林大国なので、木の知識がたくさん積もっています。それを深堀りしていきましょう!

まずは、各都道府県の代表的な銘木(地域を代表する木材)をまとめました。

地域 都道府県 代表的な銘木(樹種)
北海道・東北地方 北海道 ミズナラ(北海道産ナラ材)
青森県 青森ヒバ(ヒノキアスナロ)
岩手県 南部アカマツ(赤松)
宮城県 ケヤキ(欅)
秋田県 秋田杉(スギ)
山形県 ブナ(ブナ材)
福島県 会津桐(キリ)
関東地方 茨城県 クリ(栗)
栃木県 トチ(栃)
群馬県 カラマツ(落葉松)
埼玉県 ケヤキ(欅)
千葉県 マキ(槇)
東京都 イチョウ(銀杏)
神奈川県 カツラ(桂)
中部地方 新潟県 キリ(桐)
富山県 立山杉(スギ)
石川県 能登ヒバ(アテ)
福井県 マツ(松)
山梨県 カエデ(楓)
長野県 木曽ヒノキ(檜)
岐阜県 イチイ(一位)
静岡県 天竜杉(スギ)
愛知県 ケヤキ(欅)
三重県 尾鷲ヒノキ(檜)
近畿地方 滋賀県 スギ(杉)
京都府 北山杉(杉丸太)
大阪府 クスノキ(楠)
兵庫県 クスノキ(楠)
奈良県 吉野杉(杉)
和歌山県 ウバメガシ(姥目樫)
中国地方 鳥取県 因幡杉(杉)
島根県 スギ(杉)
岡山県 アカマツ(赤松)
広島県 スギ(杉)
山口県 アカマツ(赤松)
四国地方 徳島県 スギ(杉)
香川県 オリーブ(Olive木)
愛媛県 マツ(松)
高知県 魚梁瀬杉(杉)
九州・沖縄地方 福岡県 スギ(杉)
佐賀県 クスノキ(楠)
長崎県 ヒノキ(檜)
熊本県 クスノキ(楠)
大分県 スギ(杉)
宮崎県 日向榧(榧)
鹿児島県 屋久杉(杉)
沖縄県 リュウキュウマツ(琉球松)

以下、北海道、東北地方、関東地方ごとに名称・用途・性質・文化的価値・ブランド性・産出状況について箇条書きで要点まとめます。

北海道・東北地方

北海道(ミズナラ)

  • 木の名称:ミズナラ(水楢)。北海道を代表する落葉広葉樹で、「木材の王様」とも称されますhousecreate.co

  • 主な用途:家具材や内装材、床板などに広く利用。かつて鉄道の枕木にも使われ、ウイスキー熟成用の樽材としても有名ですhigher-house.net。重硬で強度があるため建築の構造材にも適しています。

  • 性質:木目が緻密で美しく、年輪幅が狭い良材は強度・耐久性に優れますe-meiboku.co.jp。硬く重い木材ですが、年輪幅によって加工のしやすさが異なりますwood-shop.co.jp。北海道産材は特に虎斑(とらふ)と呼ばれる杢が現れやすく、家具用材として評価が高いですe-meiboku.co.jp

  • 文化的・歴史的価値:北海道では森の質の良さが木の質を育むとして、ミズナラなど広葉樹林が百年以上の時をかけ守られてきましたhokkaidowood.com。また北海道産ミズナラはヨーロッパで高級棺材として珍重され、明治時代から厚板が輸出されていた歴史がありますjawic.or.jp

  • 知名度やブランド価値:北海道産のナラ材は国産広葉樹材の中でも高品質とされ、調湿機能も備えた優良材ですsinrintech.compref.hokkaido.lg.jp。特に豪華な杢目(縮み杢や玉杢)が出た「道産ナラ」は銘木市場で高値取引されます。

  • 産出量・希少性:北海道は日本最大の森林面積を持ち、ミズナラは道内各地の天然林に豊富に自生しています。広葉樹材として一定の供給がありますが、大径木は減少傾向にあり、計画的な森林管理が行われていますjml.co.jp

青森県(青森ヒバ)

  • 木の名称:青森ヒバ(ヒノキアスナロ)。日本三大美林の一つに数えられる青森県産の針葉樹で、ヒバと略称されますsinrintech.com。樹齢200~300年級の天然木が多く利用されますe-meiboku.co.jp

  • 主な用途:耐久・耐水性を活かした建築用構造材(柱・土台)や和風建築の造作材(天井板・床柱)に使われますsinrintech.comsinrintech.com。また香りと抗菌性を活かし、浴槽・風呂桶など風呂用品、まな板や芳香剤(ヒバ油、チップ)にも利用されていますsinrintech.comsinrintech.com。伝統工芸では津軽塗の木地材としても有名ですsinrintech.com

  • 性質:ヒノキチオールを多く含み、抗菌・防虫効果が極めて高いのが特長ですsinrintech.com。シロアリや腐朽菌に強く耐久性に優れ、湿気に強く狂いが少ない良材ですsinrintech.comsinrintech.com。木目が細かく緻密で光沢があり、美しい淡黄白色の材ですsinrintech.com。香り高くリラックス効果も認められていますsinrintech.comsinrintech.com

  • 文化的・歴史的価値:平安時代から良材として利用され、中尊寺金色堂(岩手)や弘前城(青森)など歴史的建造物にもヒバ材が使用されていますsinrintech.com。青森ヒバは日本三大美林(他は秋田杉・木曽檜)の一つで、長い年月かけ成長した天然林が青森の誇りですsinrintech.com。また江戸時代には伐採が制限され保護されてきました。津軽塗漆器にも使われ、「堅牢」と称される耐久性を伝統技術が支えていますsinrintech.com

  • 知名度やブランド価値:秋田杉・木曽檜と並ぶ銘木ブランドで、「青森ヒバ」の名は全国的に知られています。芳香性と耐久性から高級材として評価が高く、特に浴槽材や神社仏閣修復用材としてブランド価値があります。ヒバ油やグッズも地域ブランド商品です。

  • 産出量・希少性:青森県下北地域を中心に広く自生しますが、大径の天然ヒバは伐採が進み希少化していますsinrintech.com。現在は計画的な伐採と植林で資源管理されており、人工林からの供給も行われています。とはいえ成長に数百年要するため、質の高い青森ヒバは貴重で高価です。

岩手県(南部アカマツ)

  • 木の名称:南部アカマツ(岩手県北部を中心に産出するアカマツ)。古くから「南部片松」として銘木市場に流通し、岩手県の県木にも指定されていますnga.gr.jpnga.gr.jp

  • 主な用途:高い強度を活かし、社寺建築や城郭の梁(はり)など大型構造材に用いられてきましたsinrintech.com。例として熊本城の梁にも使われた記録があり、長年大きな建物を支える実績がありますsinrintech.com。現在でも住宅の構造用梁材や床板、フローリング材として利用され、肌触りの良さから床材にも適していますsinrintech.com

  • 性質通直で太く均一な木目を持ち、節が少ないのが特長ですsinrintech.com。木質が緻密で硬く、強度・耐久性が高いアカマツ材で、粘り強さも備えますsinrintech.com。ヤニ(樹脂分)が少ないため加工もしやすく、細工適性も良好ですsinrintech.com。100年以上かけて成長した材ほど強度が際立ち、狂いも少ない優良材になりますsinrintech.com

  • 文化的・歴史的価値:南部藩の林業で育まれ、江戸時代から城郭や神社仏閣に使用されてきましたsinrintech.comsinrintech.com。特に岩手県久慈地方の良材は「南部松」として京都・奈良の寺社建築にも重用されています。歴史的建造物に使われた実績は品質の証として知られ、地域の誇りとなっていますsinrintech.com

  • 知名度やブランド価値:南部アカマツは**「美しく強い木」**として銘木業界で評価が高いですsinrintech.com。他地域の松材に比べ年輪が詰まり強靭で、美観にも優れることから、近年はリノベーション用途にも注目されていますsinrintech.com。岩手県産材ブランド「いわての木」においても重要な位置を占め、南部赤松の名で流通します。

  • 産出量・希少性:岩手県内各地にアカマツ林がありますが、松くい虫被害などで資源量は減少傾向ですsinrintech.com。一方で適切な森林管理により良材生産も続けられています。岩手県は人工林松の面積が全国有数で、生産量も比較的安定しています。ただし大径の古木は貴重で希少性が増しています。

宮城県(ケヤキ)

  • 木の名称:ケヤキ(欅)。宮城県の県木であり、東北地方各地に自生する広葉樹の王者です。堂々とした大径木になるため銘木としても人気が高く、「槻(つき)」とも呼ばれますsinrintech.com

  • 主な用途建築材から家具・楽器まで幅広く利用されています。特に寺社建築では梁や柱に用いられ、清水寺の舞台の柱など有名な使用例がありますsinrintech.com。また杢目の美しさを活かし一枚板の座卓・テーブルや床板、内装材(框や長押)に重用。和太鼓の胴体や、高級家具、太鼓・三味線など楽器にも使われてきましたsinrintech.comsinrintech.com。ケヤキの無垢材で作る和太鼓は最高級品とされていますsinrintech.comsinrintech.com

  • 性質非常に頑丈で重硬な木材で、日本有数の強度を誇りますsinrintech.com。木目に独特の美しい杢(もく)が現れ、観賞価値が高いことも特長ですsinrintech.com。玉杢・縮み杢など希少な杢を持つ板は銘木として高値で取引されますsinrintech.com。乾燥・加工は難しいほど硬いですが、仕上げると光沢があり、経年で飴色に美しく変化します。耐朽性も高く、狂いが少ないため長寿命の製品を作れますsinrintech.comsinrintech.com

  • 文化的・歴史的価値:古来より「けやけき(際立って優れている)」が語源とも言われ、重宝されてきましたsinrintech.com。城下町仙台では武家屋敷の建材や蔵の戸板などにケヤキが用いられ、仙台箪笥などの伝統家具にもケヤキ材が使われています。各地の巨樹(例えば塩竈神社の神木ケヤキ)も信仰の対象となり、文化的シンボルです。宮城県は「けやき並木」の街路樹景観も有名で、人々に親しまれてきました。

  • 知名度やブランド価値:国産広葉樹の最高級材の一つとしてケヤキの名は広く知られています。宮城県産に限らず各地のケヤキが銘木市場で扱われますが、東北の寒冷地で育ったケヤキは年輪が詰まり品質が高いと評価されます。高級和家具や銘木一枚板テーブル材としてブランド価値があり、「欅一枚板」は富裕層にも人気があります。

  • 産出量・希少性:宮城県内でもかつては大径の天然ケヤキが豊富でしたが、現在は乱伐により激減し、計画的な植林が行われています。成長に時間がかかるため太材は希少で価格も高騰しています。都市近郊の屋敷林からの伐採や計画伐採材が流通する程度で、需要に対し供給は限られているのが現状です。

秋田県(秋田杉)

  • 木の名称:秋田杉(あきたスギ)。秋田県を代表する針葉樹で、日本三大美林の一つsinrintech.com。天然林由来の秋田杉は「天杉(てんすぎ)」とも呼ばれますsinrintech.com。まっすぐ高く成長する良材で、「天然秋田杉」の歴史は平安時代に遡ります。

  • 主な用途:良質な秋田杉は建築用材(柱や梁、天井板)として古くから使用されてきましたsinrintech.com。特に内装材として木目の美しさと温もりを生かし、多くの公共施設や住宅に使われています。また秋田の伝統工芸品である大館曲げわっぱ秋田杉桶樽の材料として有名です。これらの曲物は平安時代から作られており、曲げわっぱの弁当箱や米びつ・酒樽などに利用されていますsinrintech.comsinrintech.com。秋田杉の香り高さと狂いの少なさが、保存容器に最適とされていますsinrintech.com

  • 性質年輪が細かく木目が通直で、美しい柾目材がとれるのが秋田杉の特徴ですsinrintech.com。木理がまっすぐで加工しやすく、適度な強度を持ちながら軽量ですsinrintech.comsinrintech.com芳醇な香りがありながら刺激が少なく、材の狂い(変形や割れ)が少ないため、器物や建具に向きますsinrintech.com。ただし油分は少なめで、耐久性は中庸ですが、成長が遅く年輪幅の狭い天然杉は強度・耐久性とも高いとされますlifeup-floor.com

  • 文化的・歴史的価値:秋田杉は江戸時代、佐竹藩により計画的に森林管理され、質・量ともに日本随一の杉材として流通しました。秋田杉桶樽は秋田の酒造や米蔵で重用され、曲げわっぱは武士の携行食器としても利用された歴史があります。秋田杉の林相そのものが観光資源ともなり、阿仁や能代の杉並木は名勝でした。日本三大美林として広く認知され、秋田の木工文化(曲物や樽細工、建築など)を支えてきた点で文化的価値が高いです。

  • 知名度やブランド価値:**「秋田杉」**の名は高級木材ブランドとして定着しています。木目の美しさと香りから茶室の天井板や一枚板テーブルにも珍重されます。また曲げわっぱ製品は全国的に人気があり、「秋田杉=良質」のイメージがあります。能代市には秋田杉を専門に扱う銘木市場があり、その地位を不動のものとしています。

  • 産出量・希少性:かつて豊富だった天然秋田杉は保護保存策により伐採が停止され、現在市場に出るのは人工林で育成された秋田杉が中心ですsinrintech.com。秋田県は杉人工林面積が日本一で、生産量も全国2位を誇り(宮崎に次ぐ)ますsinrintech.com。そのため供給量自体は安定していますが、天杉と呼ばれる天然物は極めて希少で、文化財修復など用途に限られていますsinrintech.com

山形県(ブナ)

  • 木の名称:ブナ(橅)。山形県を含む東北日本海側には広大なブナ林が広がり、山形はブナの多雪地適応型森林で知られます。堅く粘りのある広葉樹で、英名ビーチ(beech)。

  • 主な用途:強靭さと曲げ加工性を活かし、家具や器具、フローリング材に多用されますjawic.or.jp。ヨーロッパでは椅子の曲木(曲げわっぱ技法)に古くから利用され、日本でも秋田木工などがブナ曲木椅子を製造してきました。木の温もりを生かした玩具や台所用品(まな板、スプーン)にもブナ製品が多くjawic.or.jp、また鉄道の枕木や建築の土台材にも使われた歴史がありますbunacent.host.jp。現在は集成材や合板、パルプにも利用され、用途は非常に広範です。

  • 性質硬くて衝撃に強く、粘りがあるのが特長で、圧力や荷重にも変形しにくい高強度材ですsinrintech.com。木目は緻密で均一ですが地味で、辺材は淡黄褐色、心材は赤みがかった色合い。乾燥しづらく狂いやすい面もありますが、現代では人工乾燥技術で安定化が図られていますcltwood-promo.com。湿気には弱めで屋外では腐朽しやすいものの、室内で使えば耐久性は良好ですbuilding-madeofwood.net。曲げ加工適性が高く、チェアの背もたれなど曲線部品に適していますsinrintech.com

  • 文化的・歴史的価値:山形を含む東北のブナ林は生活と深く結びつき、薪炭林として利用された他、山菜・キノコなど恵みを与えてきました。ブナは「森の母」とも呼ばれ、山形では鳥海山や朝日連峰の原生ブナ林が郷土の自然遺産となっています。一方、木材利用としては近代以降に本格化し、秋田杉に次ぐ東北の資源として家具産業などを支えました。ブナ材そのものは素朴ですが、雪国の文化と森を象徴する樹種です。

  • 知名度やブランド価値:ブナは世界的に汎用される材であり、日本産も「山毛欅(ブナ)」として流通します。山形産ブナ自体のブランド化は目立ちませんが、近年は国産広葉樹の価値見直しで注目されています。温かみのある木肌と高強度から、「山形のブナ」を使った工芸品や家具も開発されています。

  • 産出量・希少性:山形県はブナ天然林の面積が広く、木材資源量も豊富です。ただしブナは成長が遅く人工林化されていないため、大径木は貴重です。需要は適度で乱伐も少なく、持続的に利用可能な状態ですが、高齢林の保全も重要です。総じて希少性は低くとも、質の高いブナ材を得るには計画的な林業が必要でしょう。

福島県(会津桐)

  • 木の名称:会津桐(あいづキリ)。福島県会津地方で古くから栽培・利用されてきた**キリ(桐)**で、日本有数の桐材産地です。桐箪笥の材料として全国的に名高く、「会津桐箪笥」は伝統的工芸品です。

  • 主な用途:最も代表的なのは桐箪笥(たんす)で、着物や貴重品を収める高級家具として用いられます。桐材は断熱性が高く燃えにくいため、箪笥の中身を火災から守る役割もありますnurimon.jp。また湿度変化に強く防虫効果もあることから、金庫の内張りや箪笥の引き出し材に最適ですnurimon.jp。他に琵琶や琴など和楽器の胴材、下駄などの履物、工芸品、木桶・木箱など、多用途に使われます。軽く加工しやすいため、建具の框材や天井板にも用いられることがあります。

  • 性質非常に軽軟で断熱性・難燃性に優れるのが桐材の最大の特徴ですnurimon.jp。熱伝導率が極めて低く、着火点も高いため燃え広がりにくい木材ですnurimon.jp。調湿性能も高く、湿気を吸って膨張・乾いて収縮することで内部を一定の湿度に保つ性質があります。木目は通直で美しい絹肌、淡い銀白色の木肌に独特の上品な光沢があります。非常に柔らかい反面、傷がつきやすいので構造材には不向きですが、その軽さゆえ扱いやすさは抜群です。

  • 文化的・歴史的価値:会津地方では良質な桐を育てるため農家が娘の誕生に桐を植え、嫁入り道具の箪笥に備える習慣がありました。これを「娘の桐」と呼び、桐箪笥文化として根付いています。会津桐箪笥は江戸時代から続く伝統工芸で、その高度な指物技術と桐材の特性が融合したものです。また桐紋は日本の家紋や皇室紋章として用いられ、桐そのものが高貴さと深い関わりを持つ文化的存在ですnurimon.jp

  • 知名度やブランド価値:**「会津桐」**の名は桐箪笥のトップブランドとして広く知られています。軽くて扱いやすい桐材はDIY木材としても人気があり、近年は桐のまな板などの製品も注目されています。会津産桐材は木目の美しさと狂いの少なさで評価が高く、福島県のブランド認証産品にも指定されていますtown.mishima.fukushima.jp

  • 産出量・希少性:昭和中期までは会津一円で桐の栽培・自生が見られましたが、現在大径木は減少しています。需要を満たすため中国産桐材も流通していますが、会津産は品質が高く希少です。地元では桐の植樹・育成も行われており、一定の生産は維持されていますが、上質の板目材となると限られた供給です。

関東地方

茨城県(クリ)

  • 木の名称:クリ(栗)。広葉樹の栗の木は関東各地に自生し、茨城県でも里山に多く見られます。硬質で耐久力があり、古来より実だけでなく木材も利用されてきました。

  • 主な用途土台や枕木など耐久性が求められる用途に適しており、伝統的に家屋の土台材・橋脚、電柱、船舶部材として使われましたe-meiboku.co.jp。現在でも和風建築の地覆や玄関框、門扉などに利用されます。また木肌の美しさから家具やフローリング材にも用いられ、堅木の床材として人気です。栗の産地では樽材にも使われ、ウイスキーやワインの熟成樽に利用された例もあります。

  • 性質湿気に強く耐久性に優れていますe-meiboku.co.jp。栗材はタンニンを多く含み、防腐性・防虫性が高いため地中や水中でも腐りにくいのが特長です。木目ははっきりとした力強い表情で、色は黄褐色から濃褐色へ経年変化します。硬く重めで加工にはやや難がありますが、その強度から構造材にも安心して使えます。乾燥時に割れやすい傾向はありますが、適切に乾燥させれば狂いは比較的少ない材です。

  • 文化的・歴史的価値:栗の木は実(栗の実)を食用として栽培する文化があり、木材利用は副次的でした。しかし茨城県では古民家の土台や蔵の柱などに栗材が多用され、関東の農村建築を支えてきました。鬼怒川や利根川水系の橋杭にも栗が使われた記録があり、地域の土木史にも関わっています。筑波山周辺などでは炭焼きにも利用され、栗炭は茶道の炭として重宝されました。

  • 知名度やブランド価値:栗材自体は世界的にも家具材として知られています。国産栗では岩手県二戸の南部鉄器の木型に使われたり、奈良の正倉院宝物の箱材に使われたりと各地で評価されています。茨城県産と限定したブランドはないものの、近年は栗の無垢フローリングなどが人気で、耐久性と木目の良さから再評価されています。

  • 産出量・希少性:里山林の減少で大型の栗の木は減っていますが、関東では比較的入手しやすい広葉樹です。茨城県内にも製材業者が扱っており、供給量は中程度。しかし良質な板材となると限られるため、高級フローリングなどでは輸入栗材に頼る場合もあります。国産広葉樹としては貴重な部類に入り、価格はやや高めです。

栃木県(トチ)

  • 木の名称:トチ(橡、栃の木)。栃木県の県名の由来になった木であり、関東・東北の山地に自生する広葉樹です。大径木になりやすく、美しい杢目を持つことで知られます。

  • 主な用途家具材や工芸材として利用価値が高く、一枚板の座卓・テーブル、カウンター材に人気です。特に栃の木ならではの**「縮み杢」**(波状の木目模様)は銘木として珍重され、高級家具や工芸品(器や盆など)に用いられますe-meiboku.co.jp。他には化粧単板(突板)としてスライスされ、合板の表面材や楽器の装飾材にも使われます。昔から栃木県を含む北関東では臼(うす)や器具材としても使われ、軽く削りやすいため木製の食器類にも適しています。

  • 性質:トチ材は淡く明るい木肌で、木目に縮みなどの模様が現れることが多いですe-meiboku.co.jp。比較的軽軟で加工しやすく、狂いも少ない優良材ですが、心材(赤身部分)は乾燥時に収縮や割れを生じやすい欠点があるため、白太(辺材)部分が重宝されますe-meiboku.co.jp。強度は中程度で構造材には向きませんが、その代わりに加工後の安定性と美観に優れます。磨けば絹のような滑らかな肌目を呈し、経年で飴色の艶が出てきます。

  • 文化的・歴史的価値:栃の木は栃木県の名称にもなっているほどゆかりが深く、県内各地に巨樹が存在します。昔は栃の実をアク抜きして食用(とち餅など)にもしたため、「栃の木信仰」も各地に残っています。木材としては農具の柄や飯椀、お盆など民具にも多用され、身近な木でした。奈良時代の正倉院宝物の中にも栃材の器があり、日本文化で古くからその材が親しまれてきたことがわかります。

  • 知名度やブランド価値:銘木愛好家には**「栃杢」**は有名で、特に美しい縮み杢の板は高額取引されます。栃木県産に限らず東北・関東産の良材は「国産栃」として評価が高く、テーブル材のブランドになっています。一般にはケヤキほど知名度は高くありませんが、一枚板家具ブームで徐々にその価値が知られるようになってきました。

  • 産出量・希少性:栃は成長が遅く、近年は大径木の供給が減少していますe-meiboku.co.jp。栃木県内でも伐採量は多くなく、需要に対して良材は不足しがちです。林野庁の資料でも良質なトチ材の減少が指摘されており、希少性は増しています。そのため価格も上昇傾向にあり、縮み杢などの銘木級は極めて高価です。

群馬県(カラマツ)

  • 木の名称:カラマツ(落葉松)。群馬県北部など冷涼な高地に植林された針葉樹で、赤城山麓や嬬恋高原などで生育します。日本の針葉樹で唯一の落葉樹であり、黄葉する姿も美しい木です。

  • 主な用途建築構造材として有用で、柱や梁、土台に使われます。重硬で強度が高いため、かつては鉄道の枕木にも多用されました。現在では集成材やCLT材の原料にもなっており、大規模木造建築にも活用が進んでいます。また板材はフローリングや羽目板にも加工され、節のある素朴な風合いが人気です。外構では電柱材や柵、防腐処理して枕木風資材にも利用されます。

  • 性質:カラマツは重く硬い木材で、耐荷重性・耐久性に優れます。年輪がはっきりしており、樹脂分が多く表面に光沢があります。反面、乾燥に時間がかかり狂いやすい性質もあるため、しっかり乾燥させて使う必要があります。芯持ち材は割裂しやすいですが、うまく製材すれば強度は非常に高いです。節が多めなのが難点ですが、それゆえ木目の表情がありインテリア材としては味わいとなります。耐水性も比較的高く、防腐処理を併用すれば屋外利用も可能です。

  • 文化的・歴史的価値:群馬県では明治以降、人工林として多くのカラマツを植栽しました。特に嬬恋や草津などでは入植者が防風林兼用で植え、林業資源として育ててきました。戦後は校舎や官舎の建築材として盛んに伐採され、経済復興に寄与しました。風景的にも榛名山や赤城山のカラマツ林は紅葉の名所となり、文化景観を形成しています。木材利用としては地味ながら日本の近代化を支えた一翼と言えます。

  • 知名度やブランド価値:長野県産の「信州カラマツ」などが有名ですが、群馬県産も品質は良好です。近年は地元材活用の流れで「上州からまつ」などブランド化の動きもあります。強度と耐久性の高さから輸出も視野に入れたプロジェクトがあり、CLT材として脚光を浴びつつあります。ブランド価値はこれからですが、構造用国産材として期待される存在です。

  • 産出量・希少性:群馬県内の人工林面積に占めるカラマツは相当量あり、比較的供給は安定しています。ただし戦後植林が多かったため樹齢が揃いがちで、一斉に伐期を迎える懸念もあります。需要とのマッチングが課題ですが、希少性は低く、むしろ利用促進が望まれる木材です。

埼玉県(ケヤキ)

  • 木の名称:ケヤキ(欅)。埼玉県の県木であり、県内各地に大木が見られます(川越の氷川神社のケヤキ並木などが有名)。関東平野部の代表的広葉樹で、古くから「武蔵野のケヤキ」として親しまれました。

  • 主な用途:建築・家具・工芸と用途は多岐にわたります。神社の鳥居や社殿の梁、寺院の山門など耐久を要する建造物に使われました。川越周辺では蔵造りの町並みにケヤキの大梁が組まれ、関東大震災でも倒壊を免れたと伝わります。家具では座卓・欅箪笥など高級品に、工芸では欄間彫刻や太鼓胴、将棋盤などに用いられます。都市近郊の屋敷林から切り出されたケヤキは、江戸指物家具の材料として江戸にも供給されていました。

  • 性質:上述の宮城県のケヤキと同様、硬く重く頑丈で、美しい木目と艶がありますsinrintech.comsinrintech.com。関東の平地で育つケヤキは成長が早く年輪はやや荒い傾向ですが、その分大径で木取りしやすい材が得られます。耐久性・耐水性にも優れ、屋外曝露にも比較的強いです。乾燥に時間はかかるものの、一度乾燥すれば狂いは少なく安定します。埼玉産は土壌の養分で色味が赤みを帯びることが多く、木理も力強いのが特徴です。

  • 文化的・歴史的価値:埼玉の農村部では「屋敷林」としてケヤキが防風・防火林に植えられ、成長したら建築材として活用する慣習がありました。川越の豪商たちは蔵に厚いケヤキ板を用い、火災から商品を守りました。また江戸時代、秋ヶ瀬や川口の木場では荒川流送された秩父山系のケヤキが集められ、江戸の大工が競って買い求めたとされます。こうした歴史から「武蔵野のケヤキ林」は文化的景観の一部でした。

  • 知名度やブランド価値:欅材そのもののブランド力は高く、「越後与板の桐、武蔵野の欅」などと言われたこともあります。埼玉県産に特化したブランドはありませんが、川越の蔵造りの話や、春日部の桐箪笥と並んで指物家具に使われたケヤキの話は有名です。現在でも銘木市で欅の一枚板は人気で、産地を問わず高価取引されています。埼玉のケヤキ並木(例:熊谷市妻沼聖天山のケヤキ並木)は観光資源にもなっており、木そのもののブランド性も感じられます。

  • 産出量・希少性:埼玉県内では屋敷林の減少や都市化でケヤキ資源が縮小しています。現在、まとまった供給は少なく、一部里山で計画伐採される程度です。良材は銘木市場に出ても高値で取引されるため、地域に十分還元されにくい状況もあります。全体として希少化が進んでおり、今後は植栽による資源確保や保存樹指定による保護が課題です。

千葉県(マキ)

  • 木の名称:マキ(槇、イヌマキ)。房総丘陵など暖地の常緑針葉樹で、千葉県の県木に指定されています。針葉樹の中ではやや重硬な木で、水湿や虫害に強い性質がありますlohas-home.com

  • 主な用途水回り用品や屋外利用に適し、古くから桶や樽、浴槽などに使われましたlohas-home.com。特に桶類の材として最適で、風呂桶や水桶の素材として全国的に利用されていますlohas-home.com。また湿気やシロアリに強いため、沖縄などでは一級の建築材として柱や梁に用いられてきましたlohas-home.com。関東では建築用板材(縁甲板、天井板、屋根板)や土木材にも使われ、神社の水盤や石灯籠の笠木裏にも槇板が使われる例があります。庭木としても知られ、生垣に利用された材を家屋の下地に再利用することも行われました。

  • 性質重く硬めの針葉樹で、耐久性・耐虫性に優れていますlohas-home.com。水湿にさらされても腐りにくく、白蟻にも食われにくい木材ですlohas-home.com。木理(年輪)は通直で肌目は精(きめ細か)で、加工は比較的容易とされていますlohas-home.com。材色は黄白色に褐色の斑が混じる独特の色合いで、光沢があり、時に樟脳に似た芳香を放つ材もあります。節は多めですが、小節なら板に現れても強度上大きな問題はありません。長期間水湿に耐える長所から、風呂や水槽といった用途には欠かせない材でしたlohas-home.com

  • 文化的・歴史的価値:房総では槇の大木は少ないものの、江戸時代には上総・安房で伐られた槇が江戸に運ばれ、桶屋や指物師に重用されました。千葉の海女漁では槇材の浮子(浮き)が使われた例もありますlohas-home.com。また日蓮宗寺院の多い南房総では仏具の木地に槇を用いた歴史があり、漆器の木地としても利用されています。民家では槇板の風呂桶が長寿命で、代々使い続けられたという話も残ります。

  • 知名度やブランド価値:木材としての槇はヒノキや杉ほど有名ではないものの、「高野槇」(コウヤマキ)と混同されることがあります。コウヤマキも耐水性があり風呂材に使われますが、全く別種です。イヌマキ(槇)は沖縄を中心に建築材ブランドとして認知され、千葉県産も品質は良好です。現在、桶や風呂用品の高級材として槇材が見直されており、その方面でのブランド価値が高まっています。

  • 産出量・希少性:千葉県ではマキは庭木用途が多く、大径の原木は非常に少ないです。商業伐採される量も限られ、多くは他県(九州など)から取り寄せています。国内でも生育域が限られ、市場流通量はごく僅かです。したがって今後も希少材であり続けると考えられ、適材適所で大切に使う必要があります。

東京都(イチョウ)

  • 木の名称:イチョウ(銀杏)。東京都の都樹(シンボルの木)であり、街路樹としても有名ですが、木材(銀杏材)としても利用されます。公孫樹(こうそんじゅ)とも。

  • 主な用途まな板や包丁の柄など台所用品に広く使われていますe-meiboku.co.jp。木理が緻密で適度な柔らかさがあり、刃物を痛めにくく水にも強いためですe-meiboku.co.jp。他には家具(座卓や長椅子)、建具、神輿の土台、能舞台の床など多用途です。建築構造材としてはあまり用いられませんが、一部に梁材などで使われた例もあります。東京では明治神宮外苑のイチョウ並木が知られますが、倒木した巨樹からテーブル板を製作し販売する取り組みも行われています。

  • 性質肌目が精(きめ細か)で緻密、ほどよい柔らかさで加工しやすく狂いも少ない木材ですe-meiboku.co.jp。耐水・耐腐性も高く、濡れても反りにくいため水回りに適しますe-meiboku.co.jp。色は淡黄色~淡紅色で経年でやや褐色味を帯びます。軽量で断熱性があり、割れにくい特徴もあります。臭いは乾燥させれば気になりません。イチョウ材は抗菌作用もあるとされ、食材に触れる道具に向く性質です。燃えにくい性質も若干あり、東京では大火で焼け残ったイチョウの壁板伝説もあります(実際は水分含有が多かったためとも)。

  • 文化的・歴史的価値:東京では銀杏並木が象徴的存在で、材としての利用は副次的でした。ただ全国的に見ると神社のご神木イチョウが倒伏した際、その材から調度品を作る例もあります。江戸時代にはイチョウの葉が防火のお守りとされたことから、材も火防の縁起を担いで蔵の扉に使われたことがあります。秋の黄葉は文化的景観の重要な要素であり、都市緑化樹としての価値が高いです。

  • 知名度やブランド価値:まな板材としての銀杏は有名で、プロの料理人から家庭まで広く愛用されています。また将棋駒の板(盤ではなく駒)にもイチョウ材が使われ、一部愛好家にはその名が知られています。東京都産材としては目立ちませんが、**「神宮外苑いちょう並木」**の倒木利活用プロジェクトなどでブランド化の動きがあります。

  • 産出量・希少性:イチョウは街路樹や寺社林に多く存在しますが、木材として計画的に供給されるルートはほぼありません。東京都内でも老木伐採時に出る程度で、まとまった産出は皆無に近いです。需要自体は全国的にあり、中国産材も流通しています。希少というより副産物的な供給ですが、東京都産に限定すれば極めて希少と言えます。

神奈川県(カツラ)

  • 木の名称:カツラ(桂)。丹沢山地など神奈川県西部の渓流沿いに自生する広葉樹で、材が香り高く彫刻や器具に適します。鎌倉彫で知られる鎌倉では、昔から桂材が彫刻下地に使われてきました。

  • 主な用途木彫り工芸や漆器木地として重用されます。鎌倉彫の伝統では、厚めの桂板に彫刻を施して漆を塗り重ねますが、桂は彫りやすく狂わないため最適でした。現在でも欄間彫刻や能面、版木(浮世絵の板木は山桜が多いが、桂も用いる)など、細部まで彫り込む工芸に利用されます。また割烹などで使う木製の飯台(おひつ)の材料にも用いられ、米の香りを損なわない木として知られます。その他、家具では桐材同様に箪笥や箱物の内貼り、チェス盤や碁盤の盤枠にも使われます。

  • 性質柔らかすぎず硬すぎず、均質で加工しやすいのが桂材の魅力です。木理が通直で、乾燥後の狂いが非常に少なく安定しています。淡黄色~淡紅色の木肌で光沢があり、美しい年輪を持ちます。ほんのりと甘い香りがあり、これは材中の香気成分によるものです。適度な軽さと粘りがあり、割れにくいことから彫刻や細工で細部が欠けにくい利点があります。保存性は中庸ですが、室内用途では問題ありません。

  • 文化的・歴史的価値:鎌倉彫の世界では「桂は彫りの王」と称され、仏教工芸とともにその価値が高められてきました。平安時代から仏像の台座などに桂材が用いられた例もあり、古くから和の工芸に根付いた材です。神奈川では巨樹の桂が神木として祀られることもあり(丹沢大山の桂の巨木など)、文化的なシンボルともなっています。

  • 知名度やブランド価値:一般的な知名度は高くありませんが、工芸の分野では**「桂の木」**はよく知られています。特に鎌倉彫・会津塗など漆器関係者にとっては欠かせない木材です。最近ではこの香りに注目し、アロマウッドやまな板としての需要も少しずつ高まっています。

  • 産出量・希少性:神奈川県内で桂の大径木が商業伐採されることは稀です。国内の桂材も流通量はごく少なく、大半は北海道や東北の天然木からの産出です。希少材と言え、需要も限定的なため市場では高値安定しています。神奈川産の桂となると工芸家が自ら確保する程度で、公的な供給はありません。林道整備等でやむなく伐られる際には有効活用されることが望まれます。

次回

中部地方の銘木を紹介していきます!
九州なんて銘木が多そうですが、一体どんな木があるのでしょうか・・・
楽しみです。
deepreserch便利ですね!
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